プロローグ 砂漠へ……

砂漠に風が吹く。過酷な太陽のもと、歩き続けていた一行は、暗黙の内に歩みを休め、その風の心地よさを味わう事にした。
水をまわし飲み、全員が、もう水の残りがわずかだと言う事を認めていた。
しかし、それをいうものはいない。数日前までは、進路についての言い争いがあった。
しかし、今では、危機が全員の心を一つにしていた。
「生存」への欲求が弱まったわけではない。水がなくなるまでの数日間に、必ずカナート(地下水路)を発見できると、誰もが信じていた。

それは信念と言っても良かった。
目を見合わせると、一行は立ち上がった。
時間を敵にしたゲームの再開である。



「サバッシュ」は、まず「友情」のRPGである。本当は、上のような
情景はおとずれない。水というアイテムはあるが、これが不足し
て死ぬ、というような事は、ない。
だが、こういう心を、わかりつつプレイすると、これはもう、ぐっと
楽しめるゲームである。

旅の仲間は武術を愛するスーパーファイターのカーラマン。巨体を
生かした闘志タイプのグレッシ。足が速く、ワープの魔法を使うビリンチ。
魔術師ジャダの3人娘のうちの一人、サージ。ビリンチは独立心が強く
アル中。グレッシは、大食漢で力は強いが、多少気が弱く、サージは
わがままだが、いざと言う時には気丈なところもある。

こういった連中をうまく扱わないと、このゲームクリア出来ない。
で、扱う、とか考えると気が重くなるが、付き合っていく、と考えると
楽しくなる。というノリで楽しんでもらいたい。
初めから、思い入れを強要したりして、自信が無いなどと思われると
困るが、そうではない。ほかのところは、すべて、とはいかないが
ほぼ用意した。だが、思い入れなくしては、かずかずのイベントも
凝りに凝ったゲームシステムも充分に味わって頂けない、と思うのである。

もう1つ、会話を楽しんでもらいたい、という事である。
会話の総量は定かではないが、10万語とも15万語とも言われている。
中にはラチもないダジャレなどもあるが、ストーリーに密接に関わってくる
ものも数多い。ストーリーの中にあるサブストーリー、イベントなども
この手のRPG、つまりレベルのカベ以外はどこでも行ける、一本道を強要
しないタイプのRPGとしては、かなり多く組み込んである。

(中略)

とにかく、早く「サバッシュ」の世界に入ってきてほしい。(中略)
きっと、もう一つの人生を生きる、というぐらいの充分な内容だとわかって
もらえるはずである。


「サバッシュハンドブック プロローグより引用(一部割愛・一部補足)」